不動産投資の研究、勉強をしていくと、誰もが突き当たる問題があります。
投資する際の基準をどう考えるかということです。
「区分なのか一棟なのか、新築なのか築古なのか、木造なのか鉄骨なのか、など、検討を進めていくうちに迷うことが多くなります。」
「しかも、買い方を間違えると、規模を拡大できない、なんていうことを言う人もいますので、更に悩みます。」
「しかし、どういったものに投資をしていくか、決めることはそんなに難しいことではありません。」
本記事では、投資基準、投資方針について解説させて頂いておりますので、悩んでいる方はぜひご参考にして頂ければ幸いです。
目次
結論
「不動産投資を行うことによって将来どうなっていたいのか。」
この一点によって、方針は明確になります。
・あまりリスクは取らず、悠々自適に暮らせるだけの収入があればいい
・サラリーマンは続けたいが副収入は欲しい、などなど
色々あると思います。
まずは、「不動産投資を行うことによって、自分は将来どうなりたいのか」
この点をまず第一に考えて頂ければと思います。
なお、私は、借金の金額をあまり大きくせず、手元にキャッシュを残し、サラリーマンを卒業する、ことを目的としました。
それゆえに、一棟アパートを取得するという投資方針を取りました。
投資基準について
不動産投資の対象となる物件は下記の記事でも解説致しました通り、レジデンス物件での検討事項となります。
レジデンス物件に投資する際の基準について主なところをご紹介させて頂きますが、大きくは下記の様なカテゴリーで分けて検討して頂ければと思います。メリット、デメリットについても一般的なところを記載させて頂きました。
- 区分vs一棟
- 築古vs新築
- 木造vs鉄骨/RC
- 所有権vs借地権
- 地方vs都心
- 再建築不可物件
区分vs一棟
区分所有か一棟丸ごとへの投資か、初心者の方は悩むことが多いと思います。
実際に私がそうでした。当初は、借入金に対する抵抗感、恐怖感が強かったため、区分を時間をかけて増やしていこうと考えていました。
それぞれのメリットデメリットについて解説したいと思います。
区分 | 一棟 | |
メリット | ・借入金額が少ない
・売りやすく流動性が高い ・ファミリータイプなどは、買って住みたい実需の方の需要がある |
・規模が大きくなるので大家専業でやっていける可能性がある
・借入金を完済すると、土地まで手に入れることが出来る ・稼働率が0%になることはほとんどない |
デメリット | ・銀行の担保評価額が出ない
・稼働率が0%か100% ・家賃収入が少ない |
・売却に時間を要するため、区分より流動性が落ちる
・借入金額が大きくなる |
区分所有
借入の金額が小さく、流動性も高いので、初心者の方にとっては、一見取り組みやすいように見えます。
しかし、家賃収入で返済を行っていく不動産投資においては、区分所有はリスクが高いものになります。
注意ポイント
区分所有は、稼働率が0%か100%しかありません。
入居者が退去した場合には、次の入居者が入ってくるまでは稼働率が0%になります。
次の入居者が見つかり家賃収入が入ってくるまでには、最低でも2ヶ月はかかりますので、その間の返済は今までの取り崩し、場合によっては手出しとなるのです。
区分の物件数を増やしていくことで分散を図れることも期待できますが、銀行から借り入れを行っていく際には担保評価が出ない物件を増やしていくことになりますので、規模の拡大も望みづらいことになります。
ポイント
リスクが高く、規模拡大が難しい物件となります。
一棟
一方、一棟は投資金額が大きくなり借入金額も大きくなるため、初心者の方にとっては恐怖感が起きやすいように思います。
上記でも書かせて頂きましたように、不動産投資は家賃収入と返済のバランスを考えて投資を行っていくものですので、稼働率が0%になりにくい一棟では、手出しになることはあまり多くはありません。
一棟の中で全ての入居者が同時期に退去することは珍しく、私は返済金額が家賃収入を上回ったことはありません。
一見ハードルが高いように思える一棟も、実際に行ってみると大したことはないです。
ポイント
リスクが低く、規模拡大がしやすい物件です。
結論
規模を拡大してキャッシュを残したい、いつかは専業でやっていきたい、サラリーマンを辞めたいとお思いの方は一棟以外の選択肢はありません。
副収入程度に考えている方にとっても、区分はおすすめできる投資ではありません。
ポイント
借入の金額が大きくなるため、初心者の方にとっては、抵抗感が強くなると思いますが、不動産投資を始めるのであれば、一棟以外にありません。
家賃収入と返済のバランスを見て借入を行えばよいので、必ずしも「借入の金額が大きい=恐怖」ということもないです。
返済できるだけの運営状況を維持すればよいだけのことですので。
築古vs新築
築古にするか、新築にするかという点も投資基準では考えることになります。
築年数によってバランスよく組み合わせて投資をしていけば良いのかな、という印象です。
それぞれのメリット、デメリットについてまとめました。
築古 | 新築 | |
メリット | ・新築よりも利回りが高い
・減価償却の期間が短くなる |
・融資期間が長期の借入が可能
・物件の修繕費がかからない ・10年経っても、築が浅いので流動性は高い |
デメリット | ・法定耐用年数以上の築年数になるため、融資期間が短い
・築年数が経っているため、物件の修繕費がかさむ傾向にある ・借入が出来る人が限られるため、流動性が落ちる |
・築年数が経っているものよりも利回りが低くなる
・取得金額が高くなる
|
築古
築古物件は利回りが高くなるものの、借入をしにくいという特徴があります。
借入が出来て、取得できるのであれば、減価償却の期間が短いですので、利益を圧縮することが出来ます。
利回りがあるあるので手元資金を大きくするためには、初心者の段階でも欲しい物件ではありますが、程度資産が拡大してきた中で取得することで、更に威力を発揮してくれる物件であると思います。
ただ、物件の修繕がちょこちょこ発生しますので、管理がやや面倒になるという問題もあります。
新築
新築物件は、融資期間が延びて、融資を引きやすいというメリットがあります。
更に、物件の修繕費用もほとんどかかりませんし、売却しようとした時に、容易に売却できるということも良い点として考えられます。
ただし、利回りが低いですので、手元資金が貯まりにくいです。
比較的利回りの高い物件を探していって新築物件に投資することが出来れば理想でしょうか。
結論
不動産投資が市民権を得てきた中で、実は築古物件の利回りも低下してきています。
このことから新築物件への投資へシフトする流れが出来て、新築物件も利回りが低下傾向にあります。
注意ポイント
新築物件を企画段階から買うということも、新築物件では可能なのですが、初心者の方は絶対にやめてください。
(いつかの機会に解説させて頂きます。)
比較的利回りの高い物件を探していって新築物件に投資することが理想ですが、比較的築の年数の浅く、利回りも新築より出ている物件への投資が最初はいいのではないかと思います。
修繕が結構発生することになる築古物件は、精神的なストレスとなりますし、修繕が重なると出費も多くなりますので。
木造vs鉄骨造/RC
RCとは鉄筋コンクリート造です。
木造を買い進めるか鉄骨造/RCを買い進めるか、悩むことが多いポイントですね。
木造であれば1棟ですが、鉄骨造/RCであれば値段が大きくなるだけに区分所有の可能性もあります。
それぞれのメリット・デメリットにつて纏めました。
木造 | 鉄骨造/RC | |
メリット | ・鉄骨造/RCより利回りが高い傾向にある
・運営費用があまり掛からない ・解体するのにコストがかからない |
・担保評価額がでるので銀行からの評価が高い
・法定耐用年数が長い(RC:45年、鉄骨造:34年) ・築年数が経過しても流動性がある |
デメリット | ・法定耐用年数が22年と短い
・担保評価額がでないので銀行からの評価が低い ・築年数が経つと融資を引きずらくなり、流動性が落ちる |
・建物が大きく、色々な設備があることから運営費用が結構掛かる
・解体するのにコストがかかる
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木造
木造は運営する際のコストがあまりかからないので管理が楽です。更に、手元に残る金額の割合が高いものとなります。
ポイント
仮に、売却することが出来なくても、建物を壊して更地として売却することも可能ですので、保有することに抵抗感なく取り組むことが出来ます。
ただし、銀行からの担保評価が出にくいことから、新築や築が浅い物件ならば融資を引くことが可能である一方で、築年数が20年も経つと法定耐用年数が22年と短いことから急に投資することが難しくなります。
鉄骨造/RC
鉄骨や鉄筋コンクリートで建てられているため、建物が大きくしっかりしています。
その分、貯水槽、エレベーター、屋上防水など様々なメンテナンスコストが発生する上に、固定資産税も高くなる傾向があり、入ってくる収入もい多いですが出ていく支出も多くなります。木造と比べた場合に、賃料収入から手元に残る割合としては低いかもしれません。
また、仮に、築が古くなりすぎた段階では、売却することも難しくなりますので、更地にするため解体するとしてもコストが多くかかってきます。
注意ポイント
法定耐用年数が長いとは言え、30年を過ぎたRCなどは、初心者の方はあまり触らない方がいいのではないでしょうか。
ただ、銀行からの評価は最も出る物件タイプとなっていますので、事業を大規模拡大するためには必要になってくるものと思われます。
結論
木造は融資がつけば、修繕費等のストレスを少なして手元資金を多くすることが出来るものです。
注意ポイント
初心者の方が、いきなり何億もするRCを取得するのは、物件運営についての知識、経験が少ない中ではリスクが大きいものと思います。
木造で資金を貯めて、運営に慣れてきてからRCなどの大きな物件に挑戦するというスタンスでいいのではないかと思います。
私は、大きな物件をマネージするほどの知識がないため、木造アパートで手元資金を厚くしていくという戦略をとっています。メガ大家などに近づくことは難しいと思っていますが、借入を抑えて手元資金を増やしていくことは可能です。
所有権vs借地権
物件を検討していくと、借地権付き建物の物件が出てきます。
借地権付き建物とは、土地については誰かから借りている借地権、その上に立っている建物については自分のものにできる所有権となります。
土地はいつか返さなければなりませんし、借りているので借地料を毎月支払うというものになります。
所有権 | 借地権 | |
メリット | ・土地の所有権を持つため、借入を減らしていくことにより、地主になれる
・借地権の物件に比べると流動性は高い ・銀行の評価が出る |
・利回りが高い
・土地の固都税を払う必要がない |
デメリット | ・利回りが借地権物件に比べると低い | ・借入を減らしていっても土地が手に入らないので、地主にはなれない
・銀行の評価が出ないので借入をしづらい ・流動性が低い |
所有権
流通しているものの8割がたは(土地も建物も所有権である)完全所有権の物件です。
借地権物件と比較すると、銀行評価が出ているため、借入が行いやすいことと流動性が高いことがメリットとしてあげられます。
借地権
借地権物件は、流通しているものの数は少ないです。
所有権の物件よりも2%以上は利回りが高いので手元資金を貯めてゆきたいときには役に立つ物件となります。
しかし、銀行評価が出ないため、融資を引きづらいことと、それに伴う売却のし辛さから、初心者の方が手を出す物件ではないと思います。
結論
「不動産投資の本質は借入を減らして純資産を増やしていく事業である」ことを考えると、借入を減らしていっても土地は手に入らないので、借地権物件は不動産投資の本質から離れた物件であると思います。
不動産投資をやられる方は避けた方が良い物件です。
地方vs都心
どの地域に投資を行うかということになります。居住エリアが地方ということであれば、地元の方ですので状況が変わります、
ここでは、概ね都会に住む不動産投資家の問題と考えて頂いても良いと思います。
地方高利回り物件でキャッシュを貯めて、都心の物件へとシフトしていくという投資手法が流行りました。
確かに地方物件は利回りが良いです。しかし、入居者がいるということが前提となります。
しかも、融資をしてくれる金融機関も、以前ではスルガ銀行が上げられましたが、スルガ銀行もアグレッシブではなくなっているように感じます。
地方 | 都心 | |
メリット | ・高利回りが期待できる
・早く手元資金が貯まる |
・融資を受けられる金融機関が多い
・金融機関による物件の評価が高い ・高い稼働率を維持しやすい |
デメリット | ・融資できる金融機関が限られる
・高い稼働率を維持するのが難しい ・場所が遠いため物件の状況がわからない |
・地方の物件と比べ利回りが低い
・価格が高くなる |
地方物件
地方物件は、高利回りになることが多いです。
利回りが高いということは、それだけリスクがあるということになります。
空室が埋まれば高利回りを達成できるけれども、空室を埋められない場合には手元資金も増えていきません。
更に、融資が出来る金融機関も限られてきますので売却しようとなった時に全然売れないことも想定されます。
都心物件
都心の物件は、土地の値段が高いため物件価格も高くなります。
そのため、利回りは低くなりますが、金融機関での評価が出て融資を引きやすいということになります。
結論
自己資金がある方が始める場合と一定程度自己資金を持っている方では、始めるにあたっての立ち位置が違いますので一概には言えませんが、
資金がない方は地方物件で自己資金を作って都心の物件にシフトしていくという方法もアリではないかと思います。
ただし、気を付けなければならないのは、融資のできる金融機関が限られないようにするということです。
ポイント
しかし、勉強をしながら、都心の物件で利回りのある程度高い物件を探すということもできますので、すぐに地方高利回り物件に飛びつくということはやめた方が良いです。
再建築不可物件
再建築不可というのは、同じ土地に新築の建物を建てることが出来ない物件のことを言います。
建築基準法上、道路に2m以上接道している土地でないと建物を建てることが出来なくなりました。
昔はこのような法律もなかったので、道路に接道していない物件もあり、それが売りに出ていることがあるのです。
再建築不可物件だけに、銀行の融資ほぼつかず、高利回りであることが多いです。
隣の土地を買うことが出来れば、再建築可能な物件となり、大化けする物件になることも考えられ、それを狙った投資手法もあるようです。
ポイント
しかし、初心者の方が手を出すような物件ではありませんので、検討から外して頂いても良いでしょう。
まとめ
以上、投資する際の基準を解説させて頂きましたが、基本的に高利回りの物件は、築古、借地権、地方物件、再建築不可だったりします。
高利回りになるのはその分リスクが大きくなっている訳ですので、見極めながら投資をすることが必要になります。
ポイント
初心者の方には、極力リスクを抑えつつもある程度手元資金が貯まるような物件への投資を行って頂きたいです。
次回は、物件取得までの流れについて、です