不動産投資を行うにあたって、必要になるのは銀行(金融機関)となるのではないでしょうか。
借入が出来るかどうかで投資が出来るかどうか決まりますし、不動産投資においては、なくてはならない存在、それが銀行(金融機関)ですよね。
不動産投資が出来るかどうか、2棟、3棟と取得していくことが出来るかどうか、銀行(金融機関)との付き合い方次第と言っても過言ではありません。
でも、そんな金融機関との付き合い方、銀行(金融機関)へのアプローチの仕方はよくわからないですよね。
普通にサラリーマンをしていれば、銀行からお金を借りるのは住宅ローンを借りる時ぐらいでしょうか。
住宅ローンも借りたことがない方にとっては、近寄りがたい存在かもしれません。
私は、大手銀行に勤務経験がありますので、金融機関がどんなところか熟知していますし、金融機関へのアプローチの仕方、付き合い方を何回かに分けて解説させて頂きます。
本記事をお読み頂ければ、不動産投資にあたっての金融機関との付き合い方がわかるようになります。
目次
金融機関にはどんなところがあるのか
不動産投資を行うにあたって、借入を行うことになる金融機関ですが、大まかなくくりと特徴について解説致します。
- 都市銀行
- 地方銀行
- その他の銀行
- 政府系金融機関
- 信用金庫
- ノンバンク
都市銀行
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などのメガバンクに加え、りそな銀行といったところでしょうか。三井住友信託銀行や三菱UFJ信託銀行など大きな銀行もありますが、不動産投資で融資の可能性があるのは、
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
- りそな銀行
といったところになります。
しかし、都市銀行はいわゆるお金持ちの方や地主に貸付を行う方向であるため、不動産投資を始めた方、始めようとしている方には、金融資産が何千万円あるのであれば話は別ですが、ハードルが高い金融機関となります。
三井住友銀行
三井住友銀行は都市銀行の中でもアグレッシブな銀行です。
リーマンショックの前は盛んにサラリーマン大家さんにも融資をしていたようですが、昨今はそのようなことは無くなったようです。
りそな銀行
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の様なメガバンクでは無く、不動産投資を始める方にとっても、都市銀行の中でも比較的ハードルの低い銀行です。
ただ、昨今の不動産投資を取り巻く環境の中で、相応の自己資金を必要とされるようです。
三菱UFJ銀行、みずほ銀行
不動産投資をする中で、上記の2行の名前を聞いたことはほとんどありません。
金融資産を積み上げてから取引が出来るようになるといった印象です。
地方銀行
都道府県に本拠を構える銀行です。
首都圏で不動産投資を行う場合には、
- 横浜銀行
- 千葉銀行
- きらぼし銀行
- 静岡銀行
- スルガ銀行
といったところメジャーどころとなります。
地方銀行は都市銀行よりもハードルが、ぐっと下がります。
不動産屋さんの紹介で地方銀行を紹介してもらえることが多くありますので、一棟目で地方銀行から借りる方も多いと思います。
なお、東京在住の方で地方銀行を利用して不動産投資を行う場合には、職場か住所が地方銀行の東京支店の営業エリアにあることが必要であることが多いです。
横浜銀行
横浜のみなとみらいに本拠を構える神奈川県の地方銀行です。
神奈川県に多くの支店を構えていますが、都内にも新宿、渋谷、新橋などに支店を構えています。
一度、不動産屋さんを経由して相談したことがあるのですが、自己資金は1.5~2割必要と言われ、あきらめたことがあります。
千葉銀行
千葉県に本拠を構える地方銀行ですが、千葉県に多くの支店を構え、都内では秋葉原や小岩など東京都の東側に支店を構えています。
一時期は、積極的に不動産投資家への貸し出しを行っていたとも聞いていたので、不動産屋さん経由でコンタクトしたことがありますが、基本的には地主が好きな金融機関で、定期や積立などその他の取引が必要になるようです。
横浜銀行に比べて、今までの取引関係を重視する銀行のようです。
きらぼし銀行
東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が統合して誕生した東京都に本拠を置く地方銀行です。
3行が統合する前の、東京都民銀行と八千代銀行は不動産投資への融資を行っていました。
私は、東京都民銀行から初めての物件を取得する時に、都民銀行のアパートローンで貸して頂きました。ただ、自己資金は1.5割求められましたが、築25年の木造アパートに30年の融資でしたので、借入を行いました。
八千代銀行はアパートローンという商品を持っていました。こちらのアパートローンは、借入に際しての取組手数料が1%かかるというものでした。
都民銀行はそのような手数料はかかりませんでしたので、敬遠していたら統合してしまいましたので、使える金融機関の数が減ってしまったというのは残念です。
統合後においても、支店によって、旧都民、旧八千代のアパートローンの取り扱いが分かれるようですが、不動産投資への貸し出しは行っています。
静岡銀行
静岡県に本拠を構える地方銀行です。
都内では東京駅近辺に東京支店を構え、不動産投資への相談を行うことが出来ます。
静岡銀行は、頭金はそこまで求められないようですが、金利がやや高めです。聞いたところでは3%台は覚悟する必要があります。
利回りが2桁あるのであれば、借入を行うこともいいのでしょうが、利回りがそこまでいかない物件で借入をしてしまうと、手元に資金があまり残らないことになってしまいます。
スルガ銀行
カボチャの馬車、二重契約で大変問題になった銀行です。
カボチャの馬車が問題になる前のスルガ銀行は、金融庁長官からもビジネスモデルをもてはやされた銀行でした。
私が、不動産投資の研究を始めた当初から、4.5%の金利で日本全国どこの物件でも融資をするというスタンスでした。
不動産屋さんが金融機関を消化してくれるという時は、まずスルガ銀行を紹介されるくらい個人の不動産投資家に融資をしていました。
ただ、4.5%で借りてしまうと、10%台半ばの利回りで物件を買わないと、手元に資金が残らないことになるため、スルガ銀行から借りることはしませんでした。
カボチャの馬車の問題ががひと段落して、新たなビジネスモデルとして、金利は2.5%程度、頭金5%程度で借入を行えるようになっているようです。
昔のイメージが残っているためか、スルガ銀行で借入を行うとほかの金融機関からどのようにみられるかわからないため、スルガ銀行から借り入れを行うのは最終手段かと思っています。
ただ、検討の時間は早く、新型コロナウィルスが猛威を振るう中でも早く回答をもらえるので、使い勝手はいいかもしれません。
その他の銀行
都市銀行でもなく地方銀行でもない銀行となりますが、不動産投資で代表的な銀行となるとオリックス銀行が上げられます。
ソニー銀行などのネット系の銀行は、住宅ローンは手掛けていますが、不動産投資用ローンとなるとオリックス銀行しか聞きません。
オリックス銀行
サラリーマンとしての収入も回収原資とみなし、借入総額もサラリーマンの年収10~15倍までとするなどの基準があり、サラリーマンの不動産投資家にとっては使い勝手の良い銀行ではないでしょうか。
仲介業者経由でオリックス銀行を紹介してもらえることも多く、また、ホームページで投資用不動産について、記入をすると後日担当者から連絡をもらえるなど、気軽に融資の問い合わせをすることが可能です。
不動産投資の入り口の金融機関として使うサラリーマン投資家の方は多いかと思います。
ただ、融資取組手数料に1%がかかり、期限前返済する場合にも手数料が発生するため、使い勝手は良いのですが、コストがかかる金融機関の印象です。
金利は2%前後であり、築20年くらいの木造アパートでも融資を引ける点も考慮すると、手数料がかかる点を除けば、取り組み易い銀行と思います。
政府系金融機関
日本政府が100%もしくは大半を出資している金融機関を政府系金融機関と言います。個人の不動産投資家が利用するとなると、日本政策金融公庫となります。
日本政策金融公庫
民間の金融機関と異なり、融資金額に区分けがあり、日本政策金融公庫は「女性」、「若者」、「高齢者世代」を優遇しているように見受けられます。
- 「女性」、「若者」、「高齢者」は上限金額7,200万円
- 上記以外は上限金額は4,800万円
女性、若い方、高齢者が不動産投資を行う場合には、使いやすくなるかもしれません。
更に、対応できるエリアが広く、固定金利かつ低金利であることから、物件金額を抑えることが出来れば、とても魅力的な金融機関となります。
しかし、デメリットとして融資期間が10年または15年と短くなっていることから、高利回りの物件でないと手元に資金が残らないことになります。(不動産投資の原則は、借入金をいかに早く減らしていくことが出来るか、ということを考えれば、期間が短いというのは良いのかもしれません)
また、評価の基準として物件のキャッシュフローを基準としていることから、審査基準がやや厳しいようです。
したがって、ある程度自己資金が貯まってきたところで、これ以上民間の金融機関からの借り入れが厳しく、借入期間が短くても魅力的な物件が出てきた、というところで使う金融機関になるのではないかと考えています。
信用金庫
地方銀行以上に地域に密着した金融機関であり、中小企業、個人のための専門の金融機関です。
その特性のため、大企業や営業地域外の企業・個人には融資ができないという制限があるようで、不動産投資を始めるにあたって信用金庫で借入を行う場合には、住んでいる地域の信用金庫を使うことになります。
東京で不動産投資を行う場合に活用することになる信用金庫は、西武信金でしょうか。他にも、城北信金、巣鴨信金、川崎信金などのところも聞きますが、個人の不動産投資へ手広く資金を出していたのは、西武信金のようです。
そんな、西武信金も不動産投資への融資金額が大きくなってきたことからスタンスが大きく変わったようです。
ノンバンク
ノンバンクとは、銀行や信用金庫のようにお金を預かること(預金業務)をせずに貸金をしている会社のことです。
リース会社、信販会社、消費者金融などがノンバンクにあたります。個人の方が不動産投資を行う場合には、三井住友トラスト・ローン&ファイナンスが最もメジャーな会社でしょうか。
ノンバンクは銀行に比べて規制が緩くなっているため、借入を行うにもハードルはすごく低いです。更に、審査完了までのスピードも速いです。
また、容積率、建蔽率オーバーの物件であってもお金を借りることは可能のようです。
使い勝手は格段に良いノンバンクですが、金利が高いというデメリットがあります。
ノンバンクは、預金を集めるのではなく、銀行からお金を借りて不動産投資家にお金を貸しているので、ノンバンクがリスクリターンを踏まえて貸し出しを行うため、必然的に金利は高くなります。
更に、ノンバンクで借入を行うことは、金利が高いため返済余力が低くなり、銀行などの金融機関から融資を受けづらくなる可能性があります。
注意ポイント
借りる金融機関の順番を考えることも必要になります。
また、ノンバンクは銀行や信金などのアパートローンの貸し出しについて保証を提供している場合もあります。
この場合、貸主はノンバンクではなく、銀行や信金となるため、金利はノンバンクよりも低く抑えることが出来ますが、保証料を支払うことが必要になります。オリックス銀行と同じようなパターンですね。
オリックス銀行も親会社はノンバンクのオリックスですので、同じような収益構造になっているのですね。
まとめ
銀行によって特色は様々である。
ただ借りやすいという理由から、最初から金利の高いノンバンクから借りることはあまりお勧めできない。
サラリーマンであれば、金融資産を何千万円単位で持っている方であれば、都市銀行からチャレンジできるでしょうが、金融資産をあまり持っていない場合には、オリックス銀行が、現状では妥当なところではないでしょうか(頭金や諸経費を支払う必要があるため、一定程度金融資産を保有していることは必要ですが)。